ストレス太りはなぜ起こる?メカニズムと効果のある7つの対処法
最近どうもストレスが溜まっている…と感じたとき、ふと気付いたら体重が増えている!といった経験はないでしょうか。
ストレスからくる体重の増加や体型の崩れがさらにストレスの原因になり、イライラしたり落ち込んだりしてしまう、そしてまた食べ過ぎてしまう…という悪循環を招かないために、ストレス太りのメカニズムと正しい対処法を解説します。

1.ストレス太りはなぜ起こる?
1-1.ストレスで太る理由
ストレスで太るのは、ホルモンバランスの変化が理由です。
ストレスを感じたときに脳が分泌するホルモンを「コルチゾール」と言います。コルチゾールはストレスホルモンとも呼ばれます。コルチゾールは起きている間は常に分泌され続け、無意識の緊張状態を作っています。
コルチゾールは精神的なストレスだけではなく、身体的なストレスでも分泌されます。眠っているときに「暑い、汗をかきすぎた」や「寒すぎて足が冷えた」などの理由で目覚めるのは、脳が生命の維持について敏感になり、危険信号としてコルチゾールが分泌されるためです。
コルチゾールは強いストレスに晒されることで過剰に分泌されます。コルチゾールの分泌をうけた身体は、食べることを求めます。
これがストレスによる過食とストレス太りの主な理由です。
1-2.ストレス太りのメカニズム
脳はストレスが身体的なものか、精神的なものかを区別することができません。
ストレスを感じる状況で、脳は勝手に緊張状態になり、コルチゾールによって生命を維持する機能を活性化させます。つまりブドウ糖を欲し、身体に脂肪を溜め込もうとするのです。ストレスで食べ過ぎてしまう人が、甘いものや脂っこいものにばかり手が出てしまうのは、身体がそのように欲しているためです。
同時に、食べたものを脂肪として吸収しやすくなるよう身体が働いているため、たとえ食べる量が変わらなくても太りやすくなります。
1-3.ストレス太りの悪循環
太ることは、基本的に嫌なものです。
ストレス太りを実感すると、太ったことによって自分に自信が持てなくなり、外出やデートなどで気分転換をするのもイヤになってしまいます。結果としてさらにストレスを感じ、食べ過ぎてしまいます。
また、強いストレスを継続して受けることで、コルチゾールの異常分泌が続くと、安心感や幸福感をもたらすホルモン「セロトニン」の分泌が抑制されます。判断力や記憶力を司る脳の一部「海馬」の働きが鈍り、物理的に萎縮することも解っています。
ストレスの悪循環は、「食べ過ぎてはいけない」という認識すらイライラの元にし、最終的には食べることを我慢できない脳にしてしまうのです。
1-4.解決のカギは「セロトニン」
ストレス太りの悪循環を断ち切るのは、コルチゾールに相対するリラックスホルモン「セロトニン」です。
セロトニンが分泌されている間、コルチゾールの分泌は抑制されます。
セロトニンを増やすことが、ストレス太りの悪循環を断ち切るコツになります。
2.ストレス太りに効く対処法(セロトニンを増やす)
2-1.規則正しい生活をする
眠っている間、脳内では「メラトニン」というホルモンが分泌されています。
朝起きて、メラトニンの分泌が抑制されるのと同時に、起床時のリラックスホルモンであるセロトニンが分泌され始めます。
質の良い睡眠と気持ちのいい寝起きを繰り返すことで、メラトニンとセロトニンの交代を促し、太りにくい体質を得られます。
2-2.トリプトファンやビタミンB6を摂取する
トリプトファンは、セロトニンの原料になる必須アミノ酸です。
トリプトファンは体内で生成することができないため、日々の食事から摂取する必要があります。
トリプトファンはタンパク質から作られます。したがって、大豆や赤身肉、魚、牛乳など、良質なタンパク質を含む食材から摂取することができます。また、トリプトファンからセロトニンを生成するときに必要になるのがビタミンB6です。豆類や魚のほか、バナナにも多く含まれています。
そして、トリプトファンを脳内に運ぶうえで重要な役割を果たすのは炭水化物です。お米や麺類などのいわゆる「主食」から取り入れることができます。
トリプトファンが欠乏すると、特に女性は男性の4倍の割合で脳内セロトニンが減少してしまいます。ストレス太りからのダイエットで食事制限をしてはいけないのは、これら栄養素の欠乏がさらにイライラを引き起こすためです。
ダイエットを意識する時こそ、食事はしっかり食べましょう。朝食は抜かない、牛乳やバナナを摂る、間食はスナックではなくナッツ類にする…などでも十分です。
2-3.おいしく食べる
ストレスを感じているときは、舌にある味覚組織「味蕾」の感覚が鈍っています。
食べても食べても満足感を得られないのは、味蕾の機能低下によって美味しさを感じられなくなっているためです。
亜鉛や葉酸、βカロテンなど、味覚を回復させる栄養素を食事に取り入れてみましょう。これらは、前述のトリプトファンやビタミンB6を含むたいていの食材に含まれています。
2-4.恋愛・性行為
特に女性に効果的なのが、恋愛や性行為です。
セロトニンは女性の幸せホルモンとも言われ、穏やかな気持ちや幸せな感情を呼びます。恋愛によって女性の脳内には大量のセロトニンが分泌されます。恋愛をしている女性が自然と痩せていくのと、女性がセックスのあとに空腹を感じなくなるのはこのためです。
2-5.泣く
泣くことでスッキリするのは、セロトニンが分泌されることでリラックスを感じるためです。
「涙活」と呼ばれ、泣ける恋愛映画などで積極的に涙を流してストレスを解消する試みがあります。これは脳のはたらきから考えるととても合理的で、ストレス解消とダイエット、美容にも良いとして女性を中心に人気です。
3.ストレス太りに効く対処法(その他)
3-1.リンパマッサージ
ストレス太りをしている人の多くは、冷えやむくみ、肩こりにも悩まされています。
いわゆる「未病・不定愁訴」と呼ばれる、病気未満の不快な症状が慢性的に続くことでストレスへの耐性が落ち、ストレスと運動不足、そして肥満の悪循環に陥っているのです。
リンパマッサージは体内の不要な水分や老廃物の排出を促します。むくみや冷え性の改善から身体をスッキリとさせ、生活全般を快適で活動的なものにしてくれます。
お風呂あがり、就寝前のオイルマッサージなどがおすすめです。セルフケアと入眠儀式を兼ね、ゆっくりとマッサージをすることで質のいい休息をとることができるでしょう。
3-2.漢方・サプリメント
加味逍遥散(カミショウヨウサン)や弟切草(セントジョーンズワート)など、ホルモンバランスやストレス耐性を補助する漢方もあります。メンタルクリニックなど初期に処方されることも多く、漢方ならではの穏やかな効果が特徴です。
しかし、漢方だからといって、全ての人に副作用が無いわけではありません。自己判断で服用するときは推奨摂取量を守り、少しでも合わないと感じたらすぐにやめましょう。
4.おわりに
ストレス太りの一番の対策は、根本的なストレスの原因を取り除き、ストレスを溜めない生活をすることです。
しかし、解ってはいても、ストレス社会と言われる現代、全てのストレスから完全に逃れるのは、現実的に難しいのではないでしょうか。
ならばせめて、ストレスに負けない体質を意識して作りましょう。生活習慣を整えるだけでストレス耐性が上がり、太りにくい体質になることも可能です。
この記事が少しでも参考になればと思います。