妊婦のストレスが母体と赤ちゃんに与える影響とは?
妊娠時期というのは、わが子の成長を体感できる感動に包まれ、家族も子どもの顔を見るのを楽しみにして待ちわびる幸福な時間です。
けれど一方で、妊娠するとさまざまな体の不調や心配事も増えることで、ストレスに悩まされる妊婦さんも多いです。
お母さんのストレスは、本人にとっても胎児にとっても良い影響はありません。
今回は妊娠中のストレスの原因を突き止め、改善する方法をいくつかご紹介します。

1.妊娠中のストレスの原因と症状
1-1.身体的ストレス
ストレスというと精神的なものという印象が強いですが、妊婦が大丈夫だと思っていても、環境や生活習慣によって、体がダメージを受けることからくるストレスもあります。
例えば騒音がひどかったり、極度に寒かったり暑かったりする環境での生活、多忙や睡眠不足による疲労、ダイエットによる栄養不足など、身体に負担のかかる要因を現代女性はたくさん抱えています。本人が大丈夫だと思っていても、こうした生活は確実に体にダメージを与えてしまいます。
1-2.精神的ストレス
妊娠すると精神的に不安定になり、くよくよしてしまう妊婦さんが多いです。
原因はお中にいる子どもに関する心配、夫や義理の家族との関係やこれから先のキャリアについてなど多岐にわたるでしょう。家庭環境や赤ちゃんの状態は十人十色と頭ではわかっていても、周囲と比べて自己嫌悪に陥ってしまう妊婦さんもいます。普段はそこまで気にならなかったようなことでイライラしたり泣いてしまったりする場合は要注意です。
2.妊娠中のストレスが与える影響
2-1.母体への影響
ストレスが過度にかかることで、早産や切迫流産の可能性が高まると言われています。
緊張状態に長く陥るとアドレナリンなどのホルモンが多く分泌されます。そうすると母体は自然に身を守るために重要な器官である脳や心臓へより多く血液を送るようになり、赤ちゃんに送られる血液は後回しになってしまうそうです。
そのため血管が収縮を起こすのと同様に子宮も収縮してしまうので、早産や流産のリスクが高まり、母体も危険な状態になる可能性もあります。
2-2.赤ちゃんへの影響
ストレスがたまると、それに対抗するためのストレスホルモンの一種であるコルチゾールが分泌されます。
それによって赤ちゃんの神経系統に悪影響を及ぼし、情緒不安定やうつ、ADHD(注意欠陥障害)になるリスクが高まるという研究報告があります。また、ストレスによって分泌されるホルモンは、血管収縮だけでなく免疫機能を抑制する働きがあります。
その結果強いストレスを慢性的に抱えていた妊婦さんの子どもは、アレルギーや喘息にかかる確率が高まるようです。
3.妊娠中のストレスを軽減させる方法
3-1.毎日わが子に話しかけ、二人きりの時間を楽しむ
妊娠するとこれからの将来設計について思い悩むことは誰しもあるでしょう。
しかし妊娠期間というのは、一生のうちでお母さんと赤ちゃんの心身がぴったりとつながっている貴重な時間です。「おはよう」「元気にしてるかな?」など積極的に赤ちゃんとコミュニケーションをとってみましょう。
赤ちゃんに話しかけることで自然と心が落ち着く妊婦さんは多いようです。
3-2.仕事は周囲に事情を話し、体調が悪い時はしっかり休めるようにする
人によっては産休がとりづらい環境だったり、産休までの期間も激務から解放されなかったりと、ストレスの溜まりやすい妊婦さんも多いと思います。
会社で時短勤務が可能な際は利用したり、有給休暇をうまく利用したりするなどして、妊娠で体調のつらい時期を乗り越えましょう。
3-3.「妊娠中なのだからできなくてもしょうがない」と開き直る
妊娠すると体のさまざまな変化から、家事も仕事もそれまでやっていた通りにはできなくなり、真面目な人はストレスを抱えがちです。
人から何か言われても、お腹のわが子を守ることができるのは母親ですから、あまり人の意見や批判を過剰に反応することはやめましょう。なるべく楽観的にリラックスして過ごせるようにしましょう。
3-4.趣味などの好きなことをする時間を大事にする
妊娠時以外でも言えることですが、自分の好きなことをする時間を作って、リフレッシュするようにしましょう。
妊娠していると子どもが心配になったり、体調もすぐれなかったりするので、外に出にくくなる妊婦さんがいます。
ストレスが一番体に良くないので、友達とおしゃべりする時間やショッピングなどの自分のためだけの時間を作ってあげましょう。お母さんが嬉しそうにしていれば、赤ちゃんも幸せな気持ちになります。
3-5.適度に運動する
激しい運動は妊娠中には避けなければいけませんが、適度な運動は母子の健康と安産のために良いとされています。
今は妊婦さんのためのマタニティ・ヨガ、エアロビクス、スイミングなどがあちこちで開講しているので、ずっと家にいてストレスや運動不足を感じている人は、ぜひチェックしてみてください。
こういう教室に通うことのもう一つに利点として、同じ妊婦さんの友達ができることです。妊娠中はいろいろな悩みや不安があると思いますが、ママ友達を今から作っておけば、耳寄りな情報が手に入るかもしれません。
もちろん、こうした教室に通わなくても、DVDや本で妊婦さんのためのヨガやストレッチなども自分ですることもできます。
3-6.誰か相談できる人を見つける
他にも悩みを相談して頼れる場所があるとよいでしょう。
各市町村で母親教室や妊婦さんや新米ママのための交流会などが開催されているので、ママ友づくりに積極的に顔を出すのもよいでしょう。
また、誰かに相談しづらい方のために各自治体などで妊娠に関する相談に電話で乗ってくれる相談窓口がありますので、困っている方はぜひ相談してみてください。
他にも妊婦さん同士がオンライン上で交流や相談できる掲示板や書くウェブサイトなども活用しましょう。
3-7.出産後のシミュレーションをして準備をする
悩む時間も多くなるとストレスで負担がかかってしまうので、赤ちゃんがお家にやってくるのを想像してベビー用品を楽しく準備しましょう。
実際子どもが生まれると育児にかかりきりになってしまうので、「事前にあれを用意しておけばよかった」と後悔する方も多いようです。やってくる赤ちゃんを子育てする様子を想像しながら、必要になりそうなものをピックアップして、可愛くて赤ちゃんにとって快適な環境を用意してあげましょう。
3-8.妊娠中の妻に対する夫の接し方
妊娠して不安を感じている妊婦さんが安心して出産を迎えられるためには、夫のサポートが大きな力になります。
身重の奥さんのために家事は積極的に手伝ってあげましょう。妊娠中は些細なことで気持ちが不安定になってしまいますから、帰りが遅くなる時は連絡するなどの気遣いも大切です。
休日は仕事で疲れているかもしれませんが、奥さんの体調がよい時は気分転換に外に連れ出してあげるのもよいでしょう。
4.おわりに
記事の通り妊娠中のストレスは妊婦さんにも胎児にも悪い影響を及ぼしてしまいます。
特に初産や完璧主義の妊婦さんは、妊娠前とのギャップに不安やストレスを感じてしまいがちです。妊娠の際の症状や体調は人によって違うことが大前提なので、現在の自分にできる範囲の社会生活と家庭生活を営んでいきましょう。
もちろん職場や家庭に妊婦さんがいたら、そうした理解と配慮が不可欠です。子どもは社会の宝ですから、みんなで協力し合って育てていけたら良いですね。